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8月28日の日本経済新聞の一面は、今春の新卒学生のうち約3万人が進学も就職準備もしないニートになっているという記事だった。

そして日経がこの事象から行った未来予測にとても驚嘆したので、備忘のため記録したいと思う。

以下、日経の記事より抜粋。

“企業などで職業訓練を受けないニートが増えると、日本社会全体の労働力の質が下がる懸念がある。就職した同世代との経済格差が拡大し、いずれ生活保護受給者になりかねない。結婚や子育てが困難な人が増え、少子化が一段と深刻になる可能性も指摘されている”

まず、ニートが増えると日本の労働力の質が下がるらしいが、ニートが増えることで生じる一番大きな変化は、労働者の絶対数減少だ。日本人は自分の仕事に対するプライドが高く、日本人が持つその身を身を捧げるかのような仕事に対する美学は、日本がここまで経済的に繁栄している原動力ともいえるものだ。10年やそこらの短いスパンで現場の仕事のクオリティが下がることはありえない(100年スパンならあり得るかもしれないが)。そもそも日本社会全体の労働力の質というのは、どのような指標をもって評価すべきなのか、おそらく一人の読者も明確な尺度を持っていないだろう。

それに続いて、ニートになった若者が彼らの同世代と経済格差が拡大すると生活保護受給者になってしまうという、根拠が皆目不明な道筋を立てている。労働に従事し生活費を稼げないのであれば、生活保護をもらうこともあるかもしれないが、「同世代との経済格差が拡大」することで、なぜ生活保護に頼なければならないような状態になるかがまるでわからない。

そして最後には今よりもさらに子供が減って将来の働き手が減ると、読者を未知なる恐怖へと駆り立てている。

要は、ニートが増えると、労働力の総体が目減りして日本のGDPが減少し、生活保護受給者の増加で福祉の出費が増加し、少子化で消費者・納税者も減少するから、日本のお先は真っ暗ですよとあおっているのである。

こうした問題の解決への糸口は、「そもそも」から始まる序文を作ることから始まる。そもそも「なぜ彼らは卒業後に進学も就職もしない状態を選択したのか」を詳らかにしなければならないだろう。
自ら進んでその選択を行ったのか、もしくは初めから選択肢がなかったのか。
その答えは新聞の紙面にあるワケはなく、当の学生たちに聞いてみるしかない。そして、その声を拾い上げるのが、本来新聞などのメディア・ジャーナリズムであるべきなのだろうが、日本を代表する新聞メディアのパフォーマンスがここまで落ちてしまうと、記事の内容と併せて日本の未来に対する不安が頭をもたげてくるのである。


by football-tt | 2012-08-29 03:59 | コラム

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